染物師バラク : MM-blog　靴、物欲ときどき、サッカー

2006年8月6日

染物師バラク

サッカー流れでいきなり音楽の話ですみません。
ミヒャエル・バラックというドイツのプレーヤーはよく
「トルコ系」だと誤解されています。
実は私も最初そう思っていました（笑）。
まず第一に外見がアレですもん。髪の色も黒っぽい。
顔もポリネシア系っぽい（ラグビーのシナリ・ラトゥに似てません？）。
そして第二に…というよりむしろ私的にはこちらが大きいのですが、
バラク（バラック）という名前を最初に聞いたのが
リヒャルト・シュトラウスのオペラ「影のない女」の登場人物だったからです。

投稿者 kota : 18:49 | 音楽

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「影のない女」はシュトラウスと19世紀～20世紀のドイツ語文学の巨人、
高貴なるフーゴー・フォン・ホフマンスタールのコンビで書かれた大作です。
「ばらの騎士」がモーツァルトの「フィガロの結婚」と比べられるように
この作品はシュトラウス版「魔笛」とも言える、神秘と寓話に満ちた美しい作品です。
20世紀という時代を色濃く映しつつ、東洋の架空の島と異界を舞台とした、
帝と妖精王の娘でもある皇后、染物師バラクとその妻の二組の夫婦の人間愛、
そして世界のすべてを包括する「愛」のストーリーです。
この作品の中で東洋の最下層の人間で、愚直・素朴・口下手ではあるが
実は深い慈愛に満ちた神性を持つ男として描かれているのがバラクです。

このバラクというキャラクターの名前は聖書に登場する人物から取られたそうなんですが、
この作品のエスニックな雰囲気が強く印象に残っていた為、
サッカーのバラックを最初に知った時になんとなく
「きっとヨーロッパ系ではない」と思っちゃったんですね。
結局バラックの顔だちがドイツっぽくない…という点については後日はっきり致しました。
バラックは旧東独のゲルリッツの出身なんですが、
この地域にドイツ帝国が成立するずっと前から居住している
スラブ系の少数民族、ソルブ人、それがバラックの出身だったんですね。

今度はスラブには見えないよ！という気もしますが、
旧ユーゴスラビアの人々の顔を思い出すと…サリハミジッチとか？（笑）
それもアリなのかな、と思ってみたりも…

「影のない女」(Die Frau ohne Schatten)
作曲期間：1914～17年、第一次世界大戦期・ハプスブルク帝国末期
初演：1919年10月10日　ウィーン国立歌劇場（つい1年前迄は宮廷歌劇場だった…）　
　　　　フランツ・シャルク指揮
演奏時間：約3時間30分　「ばら」より更に長大。

ミュンヘン出身の作曲家R.シュトラウスの作品はやはりミュンヘン出身で
バイエルン国立歌劇場に長年君臨し続け、シュトラウスに情熱を注ぎ続けた
ヴォルフガング・サヴァリッシュの版が印象的。
バイエルン国立歌劇場と市川猿之助のコラボの舞台がまた強烈な印象でした。
この作品のスケールの大きさは上演が難しいらしいのですが（「十戒的」だし）、
舞台が平板になり、スケールダウンしてしまう感もありますが、
確かに歌舞伎的解決法もアリかなと思います。…川の表現とか悲しかったですが…